日本へ開国を迫る米国側の目的は、太平洋周りで中国へのシーレーンを作りアジア圏での通商権益を確保するという、一人の弁護士の着想が始まりであったことを著者は解き明かしていく。この着想が人間関係を辿って実行に移され、日本で、中国で、オランダで、多くの人間に影響を与えていく。折しも、米国が東から西へと領土を拡大する西漸運動が頂点に達した時代であった。
米国の国力の源泉がベンチャー魂であることは、この本を読んでも明らかである。一方でその狡猾さも伺える。現在の米国の世界戦略もこの時代と同様に中国が軸であることを考えると、読むべき価値がある本ではなかろうか。また、著者の米国でのビジネス経験が、実時折入る解説に生かされており、ちょっとした異文化コミュニケーションの勉強にもなる。
時と場所を切り取った人物描写を重ねることで全体像を示す手法が成功しているかは判断の別れるところだが、思惑の連鎖が歴史的事実を作る面白みがこの本には生きていると思う。
渡辺惣樹 『日本開国』 草思社 2009
評価:★★☆
(★★★:とても良い ★★☆:良い ★☆☆:普通 ☆☆☆:好きな人向け)
No comments:
Post a Comment