Monday, October 24, 2011

書評|須藤彰 『自衛隊救援活動日誌』 扶桑社 2011

「ここは昨年、娘と一緒に東松島市の牡蠣祭に参加した際に歩いたころです。(中略)以前に来たことがなければ、最初から海であったと勘違いしてしまいそうです。涙の代わりに、ここでは身体が震えてきました。」(まえがき)
東日本大震災で救援活動の中心となった自衛隊。その指揮の中心を担った東北方面総監部政策補佐官の現場日誌は被災地や自衛隊の救援活動の厳しい現実を暖かい文体と明晰な分析で伝えている。

著者は現役の防衛官僚で、現場での部隊の活動状況や被災地の現実を子細に把握し、現場と本省との円滑な意思疎通を支援する役割を担っている。本書は軟らかい文体ながら救援活動や被災者の「本当の」状況、支援の在り方、災害時の行政活動の運営方法について分析を加えており、災害時の現場理解や対処のコツを学ぶ貴重な資料となっている。

悲惨な現場に置いても自らの状況をコミカルに表現できるのは、希望を持って働く者の強さではなかろうか。救援活動の成否は後の評価に委ねられるとしても、自衛隊が現状でできることを全力で行ったことは本書から良く伝わった。

評価:★★★
(★★★:とても良い ★★☆:良い ★☆☆:普通 ☆☆☆:好きな人向け)



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