| 内田樹 『日本辺境論』 |
天皇の下僚である足利将軍が「日本国王」を「詐称」して、明国皇帝に「臣下の礼」をとった。これは天皇に対しても、明国に対しても、どちらにも非礼を働いていることになる。喩えて言えば、課長が「私が社長です」と詐称して、取引先に行って、頭を下げて仕事をもらってくるようなものです。<中略>私には推察するする術もありませんけれども、「中華皇帝にまじめに臣下の礼をとる気がない」ということだけは分かります。(内田樹『日本辺境論』P64)日中韓の三カ国会議に野田首相が出席したが、胡錦涛国家主席との個別会談は実現しなかった。会議期間中、日本で全世界ウイグル会議が開催されたためと新聞は報じている。ついでに、東京都は尖閣諸島を買い取るべく寄付金を集めている。中国政府から見れば、中国内の少数民族問題を脅かし、実力を持って尖閣諸島を防衛する意志をことさら示すことで、中国内の世論を刺激する意図があると受け止めるだろう。
しかし、中国側はそのことによって日本が得る利得が分からないはずである。当の日本人においてもそこは分からないし、「中国側が矛盾と思う部分」など初めから気にしていないからである。これがややこしい。
中国にしてみれば、日本政府がまじめに交渉する気があるのかを疑ってかかるより他はない。 高等戦術なのか、日本流の「それはそれ、これはこれ」なのか。いずれにせよ、過去と同様「中国の流儀に従って対応する気はなさそうだ」ということだけは分かる。しかし、当の日本人は外交交渉にも大まじめなのである。
内田氏の言うように、良きにつけ、悪しきにつけ辺境性が生んだ日本特有の行動パターンはいつの時代も同じように発現してくる。
参考リンク: amazon:内田樹 『日本辺境論』 新潮社 2009
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