Sunday, November 13, 2011

論評|仕事と人の値段2

なるほどと思いました。
■「成果」という問題

成果主義では経営目標を個々人の目標まで落とし込み、各人の目標達成の「成果」を見る目標管理制度が鍵となる。城氏はその前提を以下のとおりまとめている。

・目標が数値目標化できる
・目標のハードルが同じ高さ
・常に目標が現状にマッチしている
・評価の際、達成度だけで絶対評価が可能

この前提ではチーム活動や過程重視の仕事では目標レベルの設定とその成果の認定が難しく、評価の公正性を担保するのことが難しい。もし管理職が従業員に対して「目標」の妥当性、「成果」の評価理由が明確に答えられないのならば、「あやふやな成果」によって処遇を決められる職場は混迷を深めていく。

■「役割」で処遇する役割業績主義

経験年数が増えるにつれ能力が上がり給与も上昇していくことを良しとする年功的な職能資格制度を「人の属性(学歴や経験年数など)」に値段をつける制度とすると、成果主義は「成果」に値段をつける制度であった。このどちらにも問題があるため、元井弘『役割業績主義人事システム』では「役割」に値段をつける人事処遇制度を提案している。

求めたい結果に対して仕事があり、仕事を成すために役割があり、役割を成し遂げるために人を充てる。人は役割に対する目標達成責任があり、役割の重さと目標達成度に応じて処遇が決定される。業績役割主義は経験年数や成果ではなく仕事を成すための「役割」に焦点を当て、同一の役割を果たしているのなら同一の処遇を行う。役割を果たしているかを評価することで、「成果」は重要だが評価の一要素とし、より広範な評価軸を取り込もうとするところにこの仕組みのポイントがある。役割業績主義は「緩やかな成果主義(元井氏は農耕型成果主義としている)」と言える。

■欧米型の職務主義との違い

一見、指定された職務(ポスト)に対して処遇を決定する職務主義に似ているが、「役割」とすることで日本型組織の特性を織り込もうとしている。例えば「書類を整理する」は職務定義だが、「部員が情報を探しやすくする」は役割であり、後者が抽象的で目的に焦点を合わせている。職務をブロックのように積み上げ成果を作る欧米型の組織ではなく、個々人の柔軟なフォローによって成果を作る日本型の組織の違いを意図しているものである。また、評価についても「役割」が果たせているか否かのため考課がつけやすい利点もある。

(つづく)

元井弘『役割業績主義人事システム』 生産性出版 2009

評価:☆☆☆ ※専門書 内容自体は★★★
(★★★:とても良い ★★☆:良い ★☆☆:普通 ☆☆☆:好きな人向け)

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