| 三枝匡 『V字回復の経営 ―2年で会社を変えられますか』 |
成長が止まった組織は語り部が多くなる。変化が少ないから、去年のことを言っているのかと思うと、実は10年前のことだったりする。つまり、1年前と10年前をまぜこぜに話をしても違和感がないのだ。(P31)「10年前の携帯電話を今も使っている人はいますか」と聞いて、「はい」と答える人はなかなかいない。しかし、長期雇用で低成長の組織ではその逆の反応が大いに起こりうる。
私の短い経験においても枚挙にいとまがない。組織内の制度改定で改悪と口々に言われるので、ヒアリングをした結果、多くの人が20年以上前のバブル期を基準を置いていたことがわかって唖然としたことがあった。また、サービス内容の変更や業務革新の途上で大きな抵抗に会った仕事では、10年前の運営方針を持ちだされた。接客を主とする部門で、お客様の変化が直接分かるはずの職場だっただけに意外であった。原因を探るとお客様の変化をまとめ、考え、変化を加える組織的仕組みが無かった。さらに、過去の責任者はもっぱら組織内政治にのみ感心を向けていた。現場スタッフは最後のプロ意識でサービスを維持していたが、その疲弊は信じられないものがあった。
いずれにせよ、変化が必要な時はリーダーが正面から「変化しない危険性」を説き、不満を抱えた人の話を真摯に聞き、時にバトルをしつつも、必要な方向に力と理と愛嬌で引っ張るしかない。外に疎い組織や人は、意図して自己を変化させなければ、100年でも同じ事をやり続ける。
経営上の慣性の法則はテーゼの1つとして強烈に印象に残っている。
参考リンク: amazon: V字回復の経営―2年で会社を変えられますか (日経ビジネス人文庫)
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