Wednesday, March 21, 2012

書評|三枝匡『戦略プロフェッショナル ―シェア逆転の企業変革ドラマ』 日本経済新聞出版社 2002

三枝匡
『戦略プロフェッショナル
―シェア逆転の企業変革ドラマ』
「戦略プロフェッショナル」は、大手鉄鋼メーカー社員の広川洋一が、出資先のベンチャー 新日本メディカルに赴任し、不振の医療機器事業を成長軌道に乗せていく筋立ての実業小説である。著者の三枝匡(さえぐさただし)は大学卒業後、大手化学メーカーを経て最初期のボストンコンサルティング日本法人の社員となる。その後、米国企業の戦略コンサルティング、日本企業の再生を数件手掛け、現在は機械部品商社ミスミ本社の社長に就いている経営のスペシャリストである。

俗に言う三枝三部作の1つで、研修業界筋では管理職研修の種本として重宝されている。本書の特徴は、ビジネスで勝つための論理や戦略を明確に組み立て、実行まで落とすための教科書的ケーススタディと、筋道に至る努力や失敗、人間的な駆け引きを小説形式で提示されている点にある。

事業不振の組織は、仕事の筋道や内容が実業上の目的と齟齬をきたしている場合が殆どである。ビジネススクールのケースであれば、想定される場面に処方箋を当てる勉強をする訳だが、実際には正しい筋道を導入しただけでは解決しない。その理由は簡単である。第一に、内容がどうあれ変化に対して人間は抵抗する。第二に実業上の筋道を読むには、限られた資源の中で情報を集め、想像と創造の力で論理を組み立てる必要がある。そして、その実行には周囲から信頼を得る力や人間的愛嬌が必要だ。本書が支持される理由は、MBA的思考法と同じくらい人間的葛藤や乗り越える努力を重要視しているからだと思う。著者の体験の成せる業である。

以上の通り、市場の読み方(市場環境・競合分析)、攻め方(見込み顧客の絞りと集中)、商品の創り方(売り方)といった戦略的思考と、人を巻き込んでいく熱量の必要性を学べる格好の教科書である。現実はさらに厳しいが。



評価:★★★  (★★★:とても良い ★★☆:良い ★☆☆:普通 ☆☆☆:好きな人向け)
寸評:販売戦略をシンプルかつ刺激的に学べる良書
参考リンク: amazon: 戦略プロフェッショナル―シェア逆転の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)

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