Monday, March 26, 2012

書評|稲盛和夫 『アメーバ経営 ひとりひとりの社員が主役』 日本経済新聞出版社 2006

稲盛和夫
『アメーバ経営―ひとりひとりの社員が主役』
日航再建を成功させた京セラ創業者の稲盛和夫氏は、アメーバ経営と呼ばれる経営手法の生みの親でもある。このアメーバ経営の理論的解説が本書でなされている。

アメーバ経営は、マネジメントの範囲として最小限の工程や機能をチームとして切り出して採算管理を行い、損益を社員に示すことで市場の変化を数字として意識付け、一人ひとりの創意工夫や頑張りを引き出そうとする管理会計制度と言える。

各チームは他の工程・機能や外部と取引を行い産品を作り、次工程へ販売することで利益を得ることで損益や時間当たり採算を算出する。営業ならば口銭が収入となる。各工程・機能間の取引価格は市場価格をベースに各チームが所属する部門長が決定する。取り決めた価格で収入を得ても赤字ならば、そのチームの経営に問題があることが分かり、チームリーダーやメンバーは改善に努めることになる。

全社的には不採算工程や機能をタイムリーに把握し改善できるため、競争力強化につながる。
しかし、チーム毎の採算管理となれば、各チームのエゴが出てくるため調整に労力がかかる。また、チームの範囲やチーム間の取引価格の設定には、市場価格としての妥当性のほか、高度な公正性が要求される。稲盛氏がこの経営手法を実行するうえで「フィロソフィ」に力点を置くのは、この問題を解決するためである。各チームのリーダーが自己の立場を主張しながらも、全社的な観点を持って事にあたれば、調整コストは最小で済むからだ。そのため、如何にフィロソフィを末端まで浸透させるかこの手法の鍵である。

本書は組織を捉える手法として刺激的な内容である。

自分たちの生み出した付加価値や勝ち負けをきちんと捉えて全員経営しようとするために必要な原理を教えてくれる。確かに、アメーバ経営をうまく機能させるのは簡単なことではない。しかし、職場に座っている自分や周囲をチームとして捉え、きちんと機能しているのかを考えれば、経営者ではなくても新たな視点を得られるだろう。変化のヒントは自己を正しく捉えることから始まるのだから、アメーバ経営の考えに触れるだけでも価値があることだと思う。


評価:★★★  (★★★:とても良い ★★☆:良い ★☆☆:普通 ☆☆☆:好きな人向け)
寸評:大小問わず経営管理に興味ある方はマスト
参考リンク: amazon: アメーバ経営―ひとりひとりの社員が主役

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