会社の経営は、数字に始まり数字に終わるわけであります。
資金を投下して、付加価値をつけて販売する事で投下資金以上の収益を得ようとする試みですから。しかし、そうは言っても人は自分の興味ある事しか目に入らな悲しい生き物であります。
社長様におかれましては、数ヶ月先から来期の売上と資金繰りを・・・
銀行員様におかれましては、利息収益と貸付け資金が安全に返ってくるのかを・・・
同じ事業を見ていても、その目的も興味も全く違っているのであります。そんな社長様と銀行員様が邂逅しても、全く話が合わない事しきりであります。
銀行員様「社長、今期支店成績が厳しくてちょっとでも良いから借りてもらえませんかねぇ(意訳:お前んところは審査が通り易くて貸すのに手間ひまかからんのじゃ! ずべこべ言わずに言われた通り金借りろやこらー)」
社長様「いやぁ、とりあえずメインからもそれなりに借りてるし、資金は大丈夫ですよ(意訳:調子いい時は借りろいうけど、少しこけるとさっさと金を引き上げるやろ! 借りるかヴォケー)」
と、ハートウォーミングな心理戦が展開される訳であります。そんな不毛な事態を避け、お互いの「利益」に目を向ける意味で、本書は光り輝いております。
財務諸表をきっかけに事業の内実に切り込み、会社の良い点・課題・解決策をひねり出した上で、よりよい財務状態を作り出そうと試みる極めて実用的な本であります。
本書の大変優れたところは、「事業の課題抽出と解決策立案」(=財務成績の改善)向けて、財務DD・事業DDが一本に結びついており、事業戦略の組み立てにおいても、PEST・5Fs・VCからSWOTや3Cに落とし込んで現実的な戦略を打ち出す手法などが紹介されています。
経営学方面でバラバラに教えられているものが、企業の問題解決という軸を得て一気につながって行く展開は圧巻であります。著者自身が日々のコンサルティングで利用している方法だからこのようなことができるのでしょう。
社長様・銀行様も「事業の成長・再生」という果実からお互い得られるところが多い訳であります。だからこそ、企業に関わる人たちは「先を」「高く」「深く」捉えることが必要なのでしょう。
事業活動を俯瞰的に見て、課題抽出やその解決を図りたい方にはうってつけの本です。
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